2013年11月3日日曜日

睡眠とアルツハイマー病、そしてヨガ


睡眠とアルツハイマー病、そしてヨガ

年齢を重ねるうえで気がかりなことのひとつは、認知症ではないでしょうか。最近、アルツハイマー病のお母様を看病している女性から相談を受けました。いくつかアドバイスをしたのですが、残念ながら解決策はありません。そんな時「睡眠には脳内の毒素を取り除く作用がある」というニュースを聞いたのです。かすかな希望がわきました。

長年、なぜ睡眠が必要なのか研究されてきましたが、最近になって「睡眠は成人の脳から代謝物を除去する。」という論文が発表されました。睡眠中に脳内の有害な毒素を排出することで、アルツハイマー病のリスクが軽減するという新しい学説です。眠りにつくと脳脊髄液の流れが急速に良くなり、起きている間にたまった毒素が押し流されるそうです。これを発見したローチェスター大学の研究者は「まるでディッシュウォッシャーだ。」と表現しています。
睡眠中に排出される毒素は、脳細胞にとって有害なものです。不眠や睡眠不足が続くと動物や人間は死に至りますので、いかに睡眠が重要だということが分かります。

「睡眠が覚醒時に中枢神経に蓄積した神経毒素の排出を促し、回復効果を引き起こす。」とアルツハイマー病の研究者は、この研究が睡眠とアルツハイマー病に関する今までの研究結果を裏付けるものだと述べています。

また、ワシントン大学のベータマン教授は、アルツハイマー病患者の脳内で発見されたβアミロイド(たんぱく質)こそがアルツハイマー病の原因物質として、次のように述べています。「βアミロイドは、日中起きている時に増加するが、寝ている時は減少する。おそらくこれがアルツハイマー病の発症メカニズムを説明するものだ。」


ネーデルガード博士らは以下の様な発見をしました。ねずみが寝ている間の髄液は脳と神経系をもの凄い速度で行き来します。寝ている間の脳の細胞は実際のところ縮んで、その循環が容易になるのです。一方起きている時は細胞は大きくなりその流れは一気に遅くなります。

なぜ寝ている時だけ排出できるのか、研究者は排出プロセスにはかなりのエネルギーが必要なため、起きている時の動作(話す、動く等)とは同時にできないと仮説を立てています。十分な睡眠をとることは、心と体の健康のために必要であり、さらにアルツハイマー病予防の鍵となるでしょう。

さて、ここでヨガとの関連性を考えてみましょう。もし睡眠のトラブルを抱えているなら、不眠症はストレスから発症しますので、ヨガによるストレスマネジメントが役立ちます。ヨガは神経を落ち着かせ、深い眠りへと導いてくれるからです。

睡眠がアルツハイマー病予防に役立つという報告は、まだ研究段階にありますので確かなことは言えません。しかし、良い眠りに害はありませんので、しっかり睡眠をとることをお勧めします。健康維持のためにもヨガをしましょう。そして脳の健康には、定期的にメディテーションを行うといいですね。


by Baxter Bell, Bradford Gibson, and Nina Zolotow.
This article originally appeared in English on the “Yoga for Healthy Aging blog”.

For more information about Baxter Bell see ” http://www.baxterbell.com ”
For more information about Bradford GIbson see “ http://www.buckinstitute.org/gibsonLab ”

Translated by Reiko Takada


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